ちょっとした物語
ちょっとした物語・・・。
豪快な女性、マリーは私の質問に対して、半ば投げやりな口調で、半ば告白者の救われた口調で、答えた。
内容は彼女の育った環境だとか、現在の心境だとか、まあそんなようなものであった。
ある雑誌のためのインタビューで、テーマは「ブルジョワ女性」というものでした。
「私はブルジョワ落ちこぼれだから」自分を卑下するような調子で彼女は言う。
話しながらひっきりなしに吸う煙草が「ゴロワーズ」であったというのは、あまりに出来すぎだが、それは作り話ではなく、本当に私がこの目で見たことなのだ。
そして彼女はのっけから「チュ(親しい間柄で使う二人称)」を使った。
彼女とこうして一対一で話すのは初めてであったから、私はこの「チュ」に大いに戸惑った。
煙の向こう側、よく見るとその顔は美形ですらある。
が、そのことは第一印象の中には含まれない。
無造作に手櫛で整えた褐色の髪、肉付きのよい身体、ひねくれものを思わせる斜めの視線。
それはまるで場末の洗濯屋のおかみ(そんなものはもう今時いないのだが)か、長屋住まいの子だくさんの女を想像させる。
この女性から、あの「デスクトップ仮想化」がどうやって生まれるのか、それは謎としかいいようのない不思議です。